わくわく体験植物見聞録 その8

アケボノソウへの思い
もくじ  アケボノソウ
平成14年9月18日  神戸

アケボノソウはなぁ、昔はようけ(たくさん)あったんや」という
ことは何度か聞いていた。しかし、私はたくさんのアケボノソウは
見たことがない。神戸付近をぶらりと散歩する私のコースにも、
少しばかりのアケボノソウが生えている。数は少なく、今年も
花の時期を迎え株数を数えて「去年より増えている」とうれしい
気持ちになっているところである。

平成14年9月29日、
私は兵庫県西部のある
高原に行った。その高原
のとある場所を歩いて
いると数多くのアケボノ
ソウと出会えた。群生を
しているところもある。
「これが本来の姿なんだ
な、水気のある場所では。
勝手に盗って帰る人がなけ
れば・・・」と思いながら
たくさんのアケボノソウの
花と出会えるよろこびで
時間が過ぎていったのです。

やがて広い道に出て歩いていると、短い茎に一つ、二つの花が
へばりついているものが目にはいりました。「何という花
だろう?」とよく見るとアケボノソウの花です。まわりを
よく見てみると同じような姿をしたアケボノソウがあちこち
に見えます。短い茎の頂上にかなりの花を懸命に広げている
ものもありました。何故こんなアケボノソウがあるのだろう。

少し経って私にも理由がわかりました。「これは道ばたの
草刈りの時、一面のアケボノソウも一緒に刈りとられた。
そのアケボノソウが残った短い茎にあわてて懸命に花を
咲かせている姿なんだ」と、そして私は「これはアケボ
ノソウにとって普通の出来事、姿なのかも知れないな。
草刈りや草焼がされ日当たりが良くなった場所で生きて
いける植物なんだから、これが里山、里山の植物なんだ。
人と共生してきた植物なんだ」と思いました。「人が
勝手に盗って帰る行為がなければアケボノソウも増えて
いくのに・・・。」そう思いながらアケボノソウと別れ
を告げました

刈りとられた短い茎にあわてて懸命に花を咲かせている
アケボノソウたち。
兵庫県西部の高原に咲くアケボノソウ

アケボノソウ(リンドウ科)
 名は花の色を明け方の空に見立て、花冠の細かい斑
点模様を暁の星にたとえたものといわれる。
(日本の野草 秋 矢野 亮監修 学習研究社)